コンデンスリッチファット(Condensed Rich Fat)
CRF(コンデンスリッチファット)は、Condensed Rich(濃縮された)Fat(脂肪細胞)のことです。脂肪吸引で採取した液体には、脂肪以外の不純物(死活細胞・老化細胞・血液・水分など)が含まれています。不純物は、脂肪注入の生着率(定着する割合)を下げ、しこり(石灰化)の要因になります。
CRFは、採取した脂肪を外気に触れないまま遠心分離にかけ、死活細胞(死んだ脂肪細胞)、老化細胞(老化して弱った脂肪細胞)、細胞破片、血液、麻酔液などの不純物を除去した脂肪です。不純物の取り除かれた新鮮で濃縮された脂肪ですので、脂肪注入の効果と安全性を高めます。
特徴
1. 脂肪の定着量がUP
従来の脂肪注入に比べ、脂肪定着量の高い治療です。従来の脂肪注入の定着率は約40%と言われています。CRF豊胸は、定着率は約80%と高い上、吸引した脂肪を全て注入に利用できるので定着量が多くなります。
2. しこりのリスクを回避
脂肪注入豊胸は、人工の異物を体内に入れる豊胸術と比べてアレルギー等のリスクがなく、自然な触感や仕上がりになる点がメリットです。一方で、注入した脂肪がしこりになるリスクがデメリットでした。しこりの原因は、脂肪注入の際に混ざる不純物ですが、従来の豊胸術では不純物を無菌的に分離することは困難でした。
CRF豊胸に使用する機器は、吸引した脂肪を外気に触れないまま遠心分離にかけることができます。不純物を無菌状態のまま取り除いて健康な脂肪だけを濃縮して注入できるため、従来の脂肪注入に比べ、しこりのリスクが大幅に低減されました。
3. 体の負担を軽減
良質で新鮮な脂肪を注入するため、従来の脂肪注入に比べ、術後のダウンタイムが大幅に減りました。CRF豊胸は短時間で脂肪を濃縮する特殊な機械を用いるため、約2時間半で手術を終えることができ、体への負担が大幅に軽減されました。
ウェイトフィルター濃縮技術
1. ウェイト効果
ウェイトフィルターのウェイト(重さ)によって、遠心分離の際に脂肪にかかるG(圧力)は、通常の遠心分離のGの約25倍になります。老いた弱い脂肪細胞はGに耐えられず排泄オイルになり、約25倍のGに耐えられる強く健全な脂肪細胞のみを抽出して使用します。
2. フィルタリング
ウェイトフィルターには、液体のみを通す小さな穴が空いており、注入には適さないトリグリ(排泄オイル)を取り除きます。従来の脂肪注入では成し得なかった、不純な排泄オイルと新鮮な脂肪の分離が可能になりました。
3. 空気に触れないプロセス
吸引、不純物の除去、濃縮、注入まで、全てのプロセスを専用のシリンジから出すことなく、空気に触れないまま行います。空気に含まれる菌や埃などに触れないので、感染症等のリスクを大幅に削減しました。
CRF抽出の流れ
1. 専用シリンジで脂肪を摂取
コンデンスリッチファット専用のシリンジで脂肪吸引を行い、外気に触れないまま脂肪を採取します。
2. チュメセント液(麻酔液)を廃棄
シリンジを10分間立てておくと、脂肪とチュメセント液に分離されるので、チュメセント液のみ廃棄します。
3. 摂取した脂肪を遠心分離
チュメセント液を廃棄したシリンジを専用の機械にセットし8分間(4000回転)遠心分離します。
4. 脂肪が三層に分かれる
遠心分離すると、上から排泄オイル(死活細胞・老化細胞)、脂肪、血液や細胞膜などの不純物の三層に分かれます。
5. 脂肪以外を廃棄
三層に分かれたうちの、排泄オイルと不純物とを廃棄し、脂肪のみをシリンジ内に残します。
6. CRFを注入
シリンジ内に残ったコンデンスリッチファットを、ボリュームを出したい部位に注入します。