ワキガはなぜ臭う?
ワキの下にはアポクリン汗腺という分泌腺があります。アポクリン汗腺は、ワキの下・乳輪・陰部・耳の中など、体の特定部分にしかない汗腺で、たんぱく質・糖類・アンモニア・鉄分・色素・脂質・脂肪酸などの成分を分泌します。
これらの成分は分泌された時点では無臭ですが、細菌に分解され、腐敗すると独特の臭いを発します。これがワキガの主な原因です。ワキガ臭が強い人には、アポクリン汗腺が多い傾向が見られます。
自己診断
下記の項目に当てはまる方は、ワキガ・多汗症の可能性があります。
1. 耳垢が湿っている
2. ワキ毛が濃い、または太い
3. 衣服のワキが黄ばむ
4. 両親や親族にワキガの人がいる
5. 肌が脂性である
6. 風呂上りでも体臭が気になる
1. アポクリン腺は耳の中にもあります。耳垢が湿っているということは、アポクリン腺の数が多く、ワキガ体質の可能性が高いと考えられます。
2. アポクリン腺は毛穴周辺で発達しています。毛深い人はアポクリン腺の数が多い可能性が高く、ワキガ体質である可能性が高いと考えられます。
3. アポクリン腺から分泌される汗は、タンパク質など様々な成分を含んでいるため黄色くなります。服が黄ばむのは、アポクリン腺が活発でワキガ体質の可能性が高いと考えられます。
4. ワキガは遺伝します。両親ともワキガの場合は75%、片親がワキガの場合は50%の確率で遺伝すると言われています。
5. ワキガの人は、脂性の傾向があります。脂性の方は男性ホルモンが活発に働いていて、分泌される皮脂の量も多くアポクリン腺の働きも活発になります。
6. 汗の臭いはシャワーで洗い流せますが、シャワーを浴びた後でも臭いが消えない場合、アポクリン腺の働きが活発でワキガ体質の可能性が高いと考えられます。
ワキガの治療法
ワキガの治療では原因となる皮下の余分な汗腺を除去することで、臭いを減少させます。従来のワキガ治療は「皮弁法(ひべんほう)」「剪除法(せんじょほう)」という手術で、臭いの腺を直接切除できるのがメリットです。しかし古典的な方法のため「傷跡が長い」「傷跡が治りにくい」「固定が大変」「出血しやすい」「痛みが強い」などのデメリットがあり、気軽に受けられる治療法ではありません。当院では、そうしたデメリットを軽減した新しい医療機器による治療が可能です。
多汗症
ワキの下にはエクリン汗腺という分泌腺があります。エクリン汗腺には、汗を排出して体内の熱を放出する体温調整の役割があります。エクリン汗腺から出る汗の成分は99%が水分で、無臭でさらりとしており、殺菌効果があります。エクリン汗腺が過度に活発な場合は、多汗症と診断されます。
多汗症の治療法
多汗症の治療は、注射で発汗作用を抑制します。注射の効果には個人差がありますが、4ヵ月ほど持続します。